スズメバチを安全に駆除!自力で行う準備や方法をプロが解説します
「これってスズメバチだよね…?駆除しなきゃ…どうしよう!」 こんにちは、ハチのマエストロの中村です。
このページに来たあなたは今、家の周りを飛び回るスズメバチにかなり怯えているのではないでしょうか。
見ただけで危険と分かる黒とオレンジの色合い、ブーンという低音で響く羽音。
背筋がゾッとしてしまいます。
スズメバチは蜂の中でも一番凶暴。
行動が活発化する7月下旬からはさらに攻撃性が強くなり、巣の近くを通っただけでも興奮し襲いかかってくることがあります。
そして「刺されるかもしれない」という不安は、自分だけでなく小さなお子さんや近所の人にも関わってくる心配ごとですよね…。
今回はそのような恐怖・不安を解決するべく、スズメバチの安全な駆除方法をしっかりお伝えしていこうと思います。
巣の大きさによっては「自力での駆除」も可能です。
ぜひ参考にしていただければと思います!
スズメバチの放置はダメ?
「近づくのが怖くてスズメバチの巣をまだ確認してないんだよね…」
「駆除した方がいいとは思いつつ行動に移せず…」
そうですよね、とっても分かります…。
ですが、スズメバチの放置はNGです。
家に居着いているのがスズメバチだと分かったならば早めに駆除してほしいのです。
スズメバチはアシナガバチよりも危険
スズメバチとアシナガバチの見た目はよく似ていますが、巣の形を見ればすぐにどちらなのか分かります。
以下の写真のように、アシナガバチの巣は「お椀を逆さにしたような形」になっており成長しても六角形の部屋が丸見えです。 一方スズメバチの巣は、初期が「とっくり(フラスコ)を逆さにしたような形」もしくは「部屋がむき出し」になっていて、さらに成長すると「丸型」になります。 さらに全体的にマーブル模様で、入り口は1つであることが特徴です。
見た目に反しておとなしい性格のアシナガバチと違ってスズメバチは攻撃性が高いので、一般的に「非常に危険な蜂」と認識されているんです。
大顎を鳴らすカチカチ音は「巣に近づくな!」という警告音。無防備のときに鳴らされたらそっと逃げるしかありません!
どんどん巣は大きく、蜂の数も増えていく
スズメバチの活動期間は4月〜11月。春から秋にかけてですね。
「蜂がいなくなるまで待つことはできないの?」
という疑問も出てくるかと思います。
確かにあなたや家族、近所の方が全く近づくことのない場所であれば、12月以降巣が空っぽになるときまで待つのも1つの方法かもしれません。
ですが、恐ろしいことにスズメバチの巣は放っておくと最大で直径80cmまで大きくなります。
スズメバチはだいたい4月〜5月から越冬した女王蜂が1人で巣を作り始め、7月〜9月あたりまでに巣がどんどん成長していきます。
その間蜂の数も増えていき、その数はなんと数百匹に及びます。
想像してみてください。
あなたの家にスズメバチが100匹以上すみついている状況を。とてもじゃないですが耐えられませんよね…。
気づかぬまま刺激して被害にあうことも
その凶暴性からか、日本ではスズメバチの被害が一番多いです。その数、年間1,000件以上。実はクマやヘビよりもスズメバチに刺されたことよる死亡例の方が多く、厚生労働省の人口動態調査によると年間20人前後の死亡者が出ているとのこと。
そしてスズメバチに襲われるきっかけとしては、
- 巣の下を通行しただけだった
- 庭木の手入れ中だった
- 巣の近くにいただけだった
というような被害側には一切悪気のないものばかり。
死亡事故のほとんどは山の中や畑で、そこで作業している高齢者の被害が多いようです。
本人が気づかないままスズメバチを興奮させてしまうことが多いんですね。
山の中でなくても、公園にできた巣の周りを小さい子供が無邪気に走り回って襲われるケースだってあります。
巣が大きくなって蜂が活動的になるほど危険性は高くなりますので、早い対処が必要です。
スズメバチの存在に気づいた早い段階で駆除してしまえば、巣はまだ小さく、蜂の数も少ないうちに対処できます。駆除の危険度はぐっと下がるわけです。
また、さっさと駆除してしまえば今後スズメバチに悩まされることもなくなり、自分の身の安全・家族の安全が守られますよ!
できるだけ安くスズメバチ駆除するには?
「できるだけ安く駆除をすませたい…」
そう思うのは当然だと思います。
ですが今回の相手はスズメバチ。
安さだけを求めて、一人で無茶をしてはいけません。
まずは自分で駆除しようとせず、身近な自治体に駆除を頼めないか聞いて見ましょう。
「スズメバチ限定」で自治体が無料駆除してくれるかも
自治体によっては、攻撃性の高いスズメバチに限って無料駆除をしてくれます。また、無料駆除までいかなくとも、駆除費用の一部負担や防護服・駆除グッズの貸し出しなどの対応をしてくれる可能性があります。
数ある業者の中から1つを選んで依頼したり、準備物を揃えて一人で駆除したりするのは手間とお金がかかってしまいますよね…。
駆除グッズを借りることができるだけでも駆除費用を抑えることができるため、ぜひ活用していただきたいところです。
ただし、自治体によっては一切対応していないというところもあります!
ですのでまずは「○○市(お住いの地名) ハチ駆除」で検索し、問い合わせ先を調べてみましょう。
あなたの住む地域の自治体がどんな対応をしてくれるのかが分かると思います。
スズメバチを自分で駆除するには?
「自治体に問い合わせてもムリだった…」
そうなったら今度は「自力で安くスズメバチを駆除する方法」が知りたいですよね。
ですが正直、相手がスズメバチともなると「安さよりも安全性」を重視していただきたい…と私は考えます。
普段から蜂駆除を日常的に行なっている専門業者でない限り、駆除にあたる際はあなたが思う以上に恐ろしさを感じるかと思います。
スズメバチ駆除のイメージがわきやすい動画を見つけました。こちらはコガタスズメバチ。
唸るような羽音が耳に刺さり、ゾワっとしてしまいますね。
スズメバチは少し刺激を与えるだけで臨戦態勢になります。
興奮させないように、刺されないように…自分自身を守ることに全力を注いで欲しいのです。
ただ、なるべくお金をかけたくないというその気持ちも分かります…!
ここでは、できるだけ安く済ませるための方法を紹介するとともに、プロの視点から駆除グッズの選び方や「これもあると安全」というオススメグッズも一緒にお伝えしたいと思います。
ぜひご参考いただければと思います!
防護服が必須!家にあるもので代用することも可
まずは、スズメバチの針から身を守る防護服を用意します。
プロが扱っているような「丈夫かつ軽量・高品質なもの」を使用するのが一番ではありますが、10万を軽く超えてしまうのが難点なんですよね…!
例えば、以下のような防護服だとバッチリ身を守れます。
もう少し安いものだと7万程度になります。
「いや、高くて買えないよ…」
という方が大半だと思いますので、家にあるもので代用する方法もお教えしますね。
防護服の代わりに用意したいもの
防護服の代わりに用意いただきたいのは「厚手」の服や軍手、長靴などです。
- 肌を露出しないこと
- 服の中に蜂が入ってこないようにすること
駆除をする際はこの2つが大前提になります。
- トレーナー、長ズボンなど厚手の服に雨合羽(黒より白っぽい色がオススメ)
- 厚手の帽子
- 首や顔まわりに巻くタオル
- 厚手の軍手(軍手と衣服の裾はガムテープでピッタリくっつける)
- ブーツや長靴など厚手の靴(裾はヒモなどでギュッと縛って、足にピッタリくっつける)
これだと家にあるもので揃えることができ、お金はかかりませんよね。もし家になくても、100均で揃えることができます。
用意できるものに限界はあると思いますが、ハチの「黒色を攻撃する」という性質上できるだけ白色で身を包みましょう。
上下すっぽり身を覆うことができる白色の雨合羽があるといいですね。
ただやはり、代用品だと既製品の防護服よりも防護力は格段に低くなります…。
針から身を守るためには、蜂駆除専用の防護服が一番良いです。
※ただし相手が体長5cmもある「オオスズメバチ」だと、その長い針が防護服を貫通してしまうこともあります!駆除が危険なことに変わりはありません…。
殺虫剤は「モンフルオロトリン」が入ってるものがオススメ
殺虫剤はスプレータイプのものが扱いやすいです。
相手がスズメバチの場合は、殺虫剤に含まれる「ピレスロイド系」成分の中でも「モンフルオロトリン」が入っているスズメバチ専用の殺虫剤を選ぶと良いでしょう。
モンフルオロトリンは即効性が高く、値段が少し高くなる分殺虫効果が高いです。
例えば、こちらの商品がオススメ。
駆除をする際は「ほんとに効いてるかな?大丈夫かな?」という不安や恐ろしさで大量にスプレーを使いたくなると思います。
巣の大きさにもよりますが450ml〜550ml缶を最低でも2本、余裕を持った本数を用意しておきましょう。
さらに!あると便利なグッズ2選
スズメバチの駆除に便利なグッズもたくさんあります。
ここでは厳選して2つご紹介しますね。
手が届かない場所にスプレーしたい!『エアロング』
「高い場所にハチの巣を作られた…」
「狭くてスプレーしにくい…」
「なるべく蜂に近づきたくない…」
このような人にオススメなのが、離れた場所からスプレーすることができる「エアロング」です。
こちらは長さが1.2mから3.6mまで伸縮可能です。(他には1.8m〜5.4m、2.4m〜6.8mのタイプがあります)
先端にスプレーを装着し、巣から離れたところから直接吹きかけることができます。
蜂に近づく必要がないため、不安がかなり軽減されるはずです。
他にも高所のクモの駆除など、様々な害虫駆除に使用できるため便利です。
戻りバチ対策をしたい!『スズメバチキャッチ』
「駆除したあと蜂が戻ってきたらどうしよう…」
このような不安もあるかと思います。
確かに「戻りバチ」といって、蜂の巣を駆除した後に戻って来る蜂もいます。巣を駆除した際に運良くその巣に戻ってきていなかった蜂のことですね。
帰ってきたら家がなくなっているわけですから、スズメバチはもちろん激怒。近づくのはとても危険です。
そのような戻りバチを代わりに捕獲してくれるのが「スズメバチキャッチ」になります。
スズメバチの「黒色に対して攻撃する」習性を利用しています。
巣がないことに気づいて興奮した蜂は粘着シートに体当たりをするので、そのままシートにくっついて動けなくなります。
何匹か捕獲した後、そのまま蜂が死んだことを確認して廃棄すればOK!
駆除は夜間に、できるだけ無臭で
スズメバチの駆除は、日が沈んで働き蜂のほどんどが戻ってきている「夜間」にしましょう。
基本的に日中の明るい時間帯は働き蜂がエサを求めて巣から離れています。そのため、駆除の最中に戻りバチが次々とやってくるため非常に危険です。
また、できるだけ無臭で駆除作業をしてください。
蜂は匂いに刺激されて興奮することもあります。例えば、ヘアスプレーや香水、汗の匂いなどで反応します。
スズメバチ駆除の流れ
防護服と殺虫剤を準備できれば、あとは次の3つアイテムを用意すれば準備完了です。
- 夜間作業のための懐中電灯
- 巣を崩すための棒
- 巣を捨てるためのゴミ袋
蜂は赤い光に対しての反応が鈍いです。
そのため懐中電灯のライト部分に赤いセロファンを貼り付けて使えば、蜂が光に向かって飛んで来ることを防ぐことができ安心です。
または、懐中電灯をつけたままではなく点滅させて使うという方法でも良いでしょう。
準備が揃ったらスズメバチを駆除します!
駆除の流れ自体は、非常にシンプルです。
巣穴を確認
スズメバチの巣は入り口が1つ。
その入り口こそが重点的にスプレーする位置になるので、日中のうちにしっかり確認します。
殺虫剤をスプレー
夜間になったら防護服や殺虫剤などの準備を整え、静かに巣に近づいていきます。
この時、蜂の巣に振動を与えないように十分気をつけましょう。
駆除前にスズメバチを興奮させて刺されてしまっては元も子もありません。
3mほど離れたところまで近づいたら、そのまま風上から巣穴に向けて一気にスプレーします。
巣の中の蜂や、巣から飛び出た蜂は薬剤で弱っているはずです。
大きな羽音が聞こえて怖いかもしれませんが、そのまま巣に近づきながら2分〜3分スプレーし続けます。
蜂が出てこなくなったら、もう一度巣の中にスプレー。
念入りなスプレーが大事です!
巣を捨てる
巣の周りに蜂がいなくなったことを確認し、巣を長めの棒で崩します。
蜂の死骸や巣の残骸はゴミ袋へ。
これで駆除完了です!
屋根裏や土の中に巣ができた場合は、バルサンなどの燻煙剤を使うこともできます。使用量の目安としては、20cmの大きさの巣に50g程度。バルサン2〜3個ですね。
スプレーでの駆除同様、働き蜂が戻ってきている夜間に駆除します。
バルサンを使う場合、スズメバチが巣の周辺に飛び散ったときのためにスプレーも使う必要があります。バルサンとスプレーを併用すると考えましょう。
※バルサンには「フェノトリン」という赤ちゃんやペットに害のある成分が含まれますので、赤ちゃんやペットが家にいる場合は使用を控えてください!付属の説明書の注意事項をよく読んで使用してくださいね。
まだ安心できない!駆除後のスプレーも大事
「えぇ…駆除してからもまだ何かしなきゃいけないの?」
という声が聞こえてきそうですが…そうなんです。
無事に蜂を駆除できたとしても、そのままでは再び巣を作られる可能性があります。
駆除を繰り返さないためにも、あと少しだけ「念入りに」対策しておきましょう!
巣を作られていた場所にスプレー
まずは蜂の巣を撤去した場所にも残っている殺虫剤をスプレーし、蜂が近寄らないようにしておきましょう。
以下のような、「蜂の巣を作りにくくする」殺虫剤もあります。ハチ駆除が終わった方は、予防としてぜひ活用してみてください。(※スズメバチの駆除用ではなく、あくまで予防の効果が高い殺虫剤です)
屋根裏や床下に巣を作られていたのであれば、蜂の出入り口となる通気口・換気口に網目の細かいネットを取り付けると物理的に蜂の侵入を防ぐことができます。
強力な両面テープを使って取り付けることができます。
他に作られそうな場所にもスプレー
さらに、巣を作られていた場所だけでなく「他に作られそうな場所」に対してもスプレーで予防しておきましょう。
あなたの家に巣を作られたということは、周りに巣の材料が豊富にある証拠です。
今回作られた場所以外にも巣作りに最適な場所があれば、次にその場所が標的になる可能性は十分にあります。
蜂の巣を作られやすいのは、例えば次のような場所です。
- 雨風をしのげる軒下
- 密閉空間である天井裏
- エサを調達しやすい土の中、木の根元
「あ、あそこやばいかも…!」と思い当たる場所があれば早めに対策しておくことが肝心です。
業者に頼むと確実に駆除できる
最後に「蜂駆除の依頼」についても触れておきますね。蜂を駆除したいと思ったとき、業者に頼むという選択肢も頭に浮かぶと思います。
しかしスズメバチ駆除の相場は25,000円〜とお高め。出費にためらってしまうんですよね…。
でも、それだけ業者に頼むメリットはあります。
駆除を依頼する大きなメリット
スズメバチ駆除を業者に依頼する大きなメリットは、次の二つです。
- 恐ろしいスズメバチと対峙しなくても確実に駆除できる
- めんどくさい準備や片付けが一切ない
蜂の生態を知り尽くした専門家だからこそ、相手がスズメバチであろうと落ち着いて駆除をすることができます。また、準備から片付けまですべてお任せでOKです。
同じ蜂が同じ場所に巣を作ったときに無料で再び駆除してくれる、などのアフターフォローを用意している業者もいます。
でも…どうしてこんなに高いの?
スズメバチ駆除は、他の蜂と比べて圧倒的に料金が高いですよね。
「刺されるリスクが高い」命がけの作業になりますので、どうしてもミツバチやアシナガバチの駆除よりも高額になってしまうのです。
ちなみに蜂の駆除は、基本的に以下の3つによって値段が大幅に変わります。
- 蜂の種類(スズメバチなど危険な蜂ほど高い)
- 巣の大きさ(大きいほど高い)
- 巣のある場所(高所作業車や壁や床の取り外しが必要になるほど高い)
逆に、スズメバチ駆除なのに異様に作業料金が安い場合は怪しい業者かもしれません…。
駆除の経験が浅く、素人の駆除と変わりない業者の可能性があります。
もし「自分で駆除しようと思ったけど、やっぱり怖い…」という場合は、安全のため遠慮なくハチ駆除専門の業者へ依頼いただければと思います!
依頼するときに見るポイントは3つ。
- 見積もり後の作業を徹底している
- 当日、夜間の依頼でもOK
- アフターフォローがある
「業者がありすぎてどれが良いのか分からない」と不安であれば、複数の業者に相見積もりをとって比較してみましょう。
その際に、気になることは全て聞いておくと良いと思います!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はスズメバチを安全に駆除したい方向けに、駆除にあたっての準備物や流れ、注意ポイントを詳しく解説してきました。
重要な点をまとめますと、
- スズメバチは蜂の中でも一番凶暴で、駆除も危険
- 安く駆除したいなら、まずは自治体に聞いてみる
- 自分で駆除するなら、事前準備をしっかりと
ということでしたね。
とにかく自分で駆除するのであれば、あの恐ろしい針で刺されないように身を守ることが大事です!
もし「やっぱり誰かに頼みたい!けど自治体はやってくれない…」ということがあれば、ぜひプロの蜂駆除屋に相談して見てください。
あなたの不安を取り除くため、絶対に力になってくれます。
どうかあなたが安心して元通りの生活に戻れますように。
ハチのマエストロ、中村でした。
私は、ハチ駆除屋さんで駆除業務に携わるものです。ハチを見かけたとき感じる恐怖と不安はかなりのもの。
「このハチって危険?」「ハチに刺されたら?」「ハチを駆除する方法が知りたい!」そんな悩みに答えるハチの知識や、状況に合った解決方法をお伝えします。
もし解決しない場合は、お気軽にお問い合わせくださいね。
最短15分で退治完了